相続専門サイトに表れる「事務所の姿勢」と業績の差─ 士業のWebマーケティングを見続けてわかった“決定的な違い”とは

2025年11月23日

相続を扱う士業(司法書士・弁護士・税理士・行政書士)のサイトを多数支援してきました。
WEBマーケティングを行うと、事務所ごとに明確な「姿勢の違い」 を感じます。

  • 露骨に受任したい気持ちが前面に出る事務所
  • ユーザーに最良の情報を丁寧に届けようとする事務所

この姿勢は、
・ホームページの文章
・見出しの付け方
・問い合わせボタンの出し方
・記事の内容の深さ
など、すべてに反映されます。

そして驚くほど、その姿勢の差が最終的に事務所の“業績”に直結します。

本記事では、その理由を整理します。

目次

「受任したい」姿勢が前面に出る事務所の特徴

● 特徴

  • とにかく「お問い合わせはこちら」が多い
  • 記事内容が浅く、結局「専門家に相談を」の誘導で終わる
  • 競合より自分を優れて見せる文章が多い
  • ユーザーの悩みより「自分たちの強み」を語る
  • ランディングページ型の“売り込み”に偏る

● ユーザーが受ける印象

  • 「結局、依頼させたいだけなのでは?」
  • 「ここに相談したら押し売りされそう」
  • 「本当に私の状況を理解しているのだろうか…?」

● 結果的に起きること

  • 無料相談の“冷やかし”が増える
  • 申込み率が低い
  • リピートや紹介がほとんど生まれない
  • Google評価も上がらない(滞在時間が短い・離脱率が高い)

短期的には問い合わせが増える時期があっても、継続的な成果につながりません。

「受任を急ぎたい事務所」に共通するサイトの特徴

相続分野では、とにかく受任を取りたい気持ちが前面に出すぎている事務所が珍しくありません。
その“露骨さ”は、サイト構造にも以下のように明確に表れます。

(1)市町村別誘導ページを大量に作る

  • 「◯◯市の相続相談はこちら」
  • 「△△町で相続なら当事務所へ」
  • 「□□エリアの相続放棄」

検索順位取りのためだけに作られており、内容はどれも同じ
地名だけが違うコピーコンテンツで、ユーザーの悩み解決には全く寄与しません。

Googleの品質ガイドライン上も評価されにくく、ユーザーから見ても「とりあえず集客したいだけ」という印象が強くなります。

(2)メインメニューが“事務所側の都合”しかない

典型的なメニュー例は次の通りです:

  • ホーム
  • 無料相談
  • 事務所案内
  • 代表あいさつ
  • 料金のご案内
  • 料金のご案内(重複表示もよくある)
  • 所員紹介
  • 選ばれる理由

このメニューの問題点

  1. すべてが“売り込み導線”で構成されている
  2. ユーザーの悩みや状況に寄り添う項目が存在しない
  3. 検索意図ベースではなく、事務所都合で作られている
  4. 「無料相談」の連打で“押し売り感”が際立つ

ユーザーの心理としては、

「情報が欲しいのに、どこを押しても営業ページに飛ばされる」

というストレスを感じ、結果として離脱率が高くなります。

(3)トップページが「選ばれる理由」と「無料相談」

トップページの構造が以下のようになる事務所が多いです:

  1. どでかい問い合わせボタン
  2. 「当事務所が選ばれる7つの理由」
  3. 「無料相談はこちら」
  4. 「早く相談すべき理由」
  5. 「解決実績」
  6. もう一度「無料相談はこちら」

これは、典型的な “押し売り型LP構造”

専門家ではなく営業マンのような印象が強く、法律・制度・実務の説明がほとんど載っていません。

(4)コンテンツは薄く、結局は「専門家に相談を」

ページを開いても、

  • 内容は法律サイトの丸写し
  • 自分の事務所の売り文句だけ
  • 実務経験が感じられない
  • ケーススタディもない

そして最後は必ず、

「複雑なので専門家に相談を!」

で終わる。

ユーザーは 情報に対する“満足感がゼロ” なので、他のサイトへ移動します。

「ユーザーに最良の情報を伝えたい」事務所の特徴

● 特徴

  • ユーザーの悩み・検索意図に丁寧に寄り添う
  • 法律・実務・手続きの流れを“無料で”過不足なく解説
  • 「相談する前に知っておくべきこと」を隠さず記載
  • 自分たちの利益ではなく、ユーザーのメリットを優先
  • ケーススタディ・費用感・リスクも正直に教える

● ユーザーが受ける印象

  • 「この事務所は信用できる」
  • 「この記事だけで理解が深まった」
  • 「この人に任せたい」と気持ちが自然に生まれる

● 結果的に起きること

  • 問い合わせ数は派手に増えないが、成約率が非常に高い
  • “本気の相談者”だけが自然と集まる
  • 口コミや紹介が増える
  • Google評価(E-E-A-T)が高まり検索順位が安定
  • 相談前から信頼されているため、無駄な営業が不要

つまり、良質な情報提供=最強の集客とブランディングという構図が成立します。

一方で「ユーザー第一の事務所」は何が違うのか?

(1)メインメニューに“悩み別導線”がある

例:

  • 初めて相続手続きをされる方へ
  • 相続放棄のやり方
  • 遺産分割で揉めている
  • 不動産の名義変更
  • 期限が迫っている方
  • 手続きの流れと注意点

これは ユーザーの検索意図 をもとに構成されています。
どのボタンを押しても「売り込み」ではなく、まず情報が手に入る ようにしているのがポイント。

(2)トップページは「ユーザーの悩み」に寄り添う構成

押し売りではなく、

  • 何に悩む人が多いか
  • どこでつまずく人が多いか
  • 専門家が教える注意点
  • 相談前に知っておくべきポイント

を丁寧に書く。

その結果、ユーザーは

「この記事だけで理解が深まった」
「この事務所なら信頼できる」

と感じ、問い合わせにつながります。

(3)実務経験に基づいた“生きた情報”が多い

  • トラブル事例
  • 裁判所の運用
  • よくある質問
  • 実際に起こりやすいミス

こうした 現場の知識 がある記事ほど読まれ、シェアされ、滞在時間も伸びるためGoogleからも高く評価されます。

両者の“姿勢の差”は最終的に業績差となって表れる

(悪い例)売り込み型事務所の末路

  • アクセスは増えない
  • 相談の質が低い(冷やかし・比較目的)
  • 無料相談だけ利用して依頼はしない
  • 成約率が低すぎて消耗
  • 口コミが増えず紹介もない
  • Google評価が低く順位が安定しない

短期的に問い合わせが増えても、長期的な成長がない。

(良い例)ユーザー第一の事務所の成長パターン

  • 相談の質が高い
  • 成約率が高い
  • 相談前から信頼されている
  • 無駄な営業が不要
  • 自然に口コミが増える
  • 検索順位が安定し流入が長く続く

つまり、“売り込み”は短期で消え、“誠実な情報提供”は長期で勝つ。

これは、相続マーケティングの現場で何度も確認された事実です。

姿勢の違いは、記事の「空気感」にまで反映される

士業サイトは内容が似通いがちですが、ユーザーが読むと“空気感の違い”が必ず伝わります。

例えば…

● 悪い例

「相続放棄は複雑です。当事務所にご相談ください。」

● 良い例

「相続放棄には“3ヶ月の熟慮期間”があり、例外が認められるケースもあります。この記事では具体的な判断材料・必要書類・家庭裁判所の実務の流れまで詳しく解説します。」

この時点でユーザーはこう考えます:

この人は本当に分かっている。
私の悩みを解決しようとしてくれている。

これが差になります。

事務所の“姿勢”は Google も評価している

Google の品質評価ガイドライン(E-E-A-T)は明確です。

  • 誠実で、専門性があり、ユーザーの役に立つ情報
  • 検索意図を満たす記事
  • 過度な営業色の排除
  • 実務経験に基づく内容

つまり、ユーザー第一の姿勢の方が自然と検索評価も高くなる。

逆に、
・表面的な文章
・専門性が薄い記事
・誘導だけのページ
は確実に評価が落ちます。

「ユーザーに寄り添う事務所」が検索順位で勝つ本当の理由

〜被リンクが自然に増える“好循環”が生まれる〜

ユーザー第一の事務所は、検索意図に答える“価値のあるコンテンツ” を丁寧に作り続けます。

これが、以下の好循環を生みます。

▼【好循環】ユーザー第一の事務所に起こるプラスの連鎖

① 疑問を解決する高品質コンテンツを公開

  • 実務経験をもとにした深い解説
  • ケーススタディ
  • 手続きの流れ、期限、必要書類
  • 他では読めない地域の事情(農地・共有不動産・空き家など)

ユーザーは

「このサイトが一番分かりやすい」
「この説明は他のサイトにはない」

と感じます。

② 他サイト・SNS から“引用・紹介”される

  • ブログで紹介される
  • 地域メディアが引用
  • SNSで「このサイトが分かりやすい」とシェアされる
  • 行政書士・税理士・FP・不動産会社など他業者からも紹介される

結果として 自然な被リンク(ナチュラルリンク) が増えます。

③ 被リンクの増加で“検索順位が上がる”

Googleはナチュラルリンクを「第三者からの信頼票」 と判断します。

順位が上がれば当然アクセスも安定して増加。

④ アクセス増 → さらに被リンクが増える

閲覧数が増えるほど、「良い記事」が見つかりやすくなり、また紹介・引用される。

最終的に起きること

・アクセスが安定して増え続ける
・成約率の高い相談者が集まる
・ブランド力が高まる
・紹介案件が増える
・広告費ゼロで長期的に集客できる

これは相続領域で特に顕著です。

一方で「露骨に受任したい事務所」は被リンクが得られず沈んでいく

“受任が欲しいだけ”の事務所には、次の問題があります。

▼【悪循環】売り込み型サイトが陥るマイナスの連鎖

① コンテンツが浅く、ユーザーの疑問が解決しない

  • 市町村別のコピー誘導ページ
  • 法律サイトの丸写しのような記事
  • 「無料相談はこちら」を連発
  • “結論:専門家に相談を”で終わる

ユーザーはすぐに離脱し、記事を紹介しようなどとは思いません。

② 被リンクを獲得できない

紹介されるほどの情報価値が無いため、リンクは一切増えません。

相続ジャンルはYMYL領域なので、“薄いサイト”は一切評価されません。

③ 被リンクゼロ → 検索順位が上がらない

SEOで最も重要な要素が「外部からの信頼(被リンク)」です。

これが無いため、順位が上がらずアクセスも伸びません。

④ アクセスが伸びない → 受任数が増えない

売り込み型なのに問い合わせが来ないため、アクセスを買おうとして広告依存に陥る。

広告のCPAが高騰し、利益率がどんどん下がります。

最終的に差がつくポイント

「誰のために情報発信しているのか?」

業績が伸びる事務所は例外なく、

“ユーザーのために”情報を作り続けている

という共通点があります。

売り込みたいのではなく、「困っている人を救うために、必要だから書く」という姿勢。

その姿勢は必ず

  • 文章
  • デザイン
  • 案内の仕方
  • 言葉の選び方
    に滲み出て、ユーザーに伝わります。

そして結果的に、もっとも売り込まない事務所が、もっとも選ばれる。

これが相続マーケティングの現場で見えた結論です。

まとめ

相続の士業サイトにおいて、事務所の「姿勢」は隠せません。

  • “受任を取りたい事務所”
  • “ユーザーに寄り添う事務所”

両者は検索文章からサイト設計に至るまで、すべてに違いが出ます。

そしてその違いは、最終的に業績の差となって返ってきます。

相続分野は特に、ユーザーの悩みが深く、精神的な負担も大きいため、

「どれだけ誠実に、どれだけ分かりやすく届けられるか」

が決定的な価値になります。

相続サイトの集客成功の秘訣は、「受任したい」という意図を隠すことではなく、**「受任に値する専門性と信頼性がある」**ことをコンテンツを通じて証明することです。

ユーザーに価値のある情報を提供し、不安を解消することに集中すれば、結果として「この専門家に任せたい」という信頼感が生まれ、自然な形で受任につながります。

相続の士業サイトにおける成功は、華やかなコピーや派手なLPでは決まりません。

決め手になるのは、

「誰のために情報発信しているのか?」

という根本的なスタンスです。

  • 受任したい気持ちが前面に出る事務所は、売り込みが強く、ユーザーが離れる
  • ユーザーに寄り添う事務所は、自然と信頼が積み重なり、結果として選ばれる

相続分野は「不安」「緊張」「知識の壁」が大きいため、ユーザー第一の姿勢が圧倒的に効果があります。

長期的な業績を望むなら、“売り込みを捨て、ユーザーのためだけに書く”という姿勢が最も強い武器になります。