相続コンテンツを「高報酬・高受任率」優先で作る事務所が、長期的に選ばれなくなる理由
相続分野のホームページ制作やコンテンツ戦略において、
「コンバージョン、受任率、報酬見込みの高い順に対応させていただきます。」
という考え方を提示されることがあります。
一見すると、経営合理性があり、効率的な戦略に見えるかもしれません。しかしこの考え方は、相続分野の検索行動の実態やGoogleの評価基準を踏まえると、むしろ長期的に受任機会を失う危険性を孕んでいます。
本記事では、
- なぜ「高報酬・高受任率」優先のコンテンツ戦略が危険なのか
- 実際に評価され、被リンクを獲得している相続コンテンツの特徴
- 相続分野で本当に成果につながるコンテンツの考え方
について、実務・SEO双方の視点から解説します。

目次
相続ユーザーは「今すぐ依頼する状態」で検索していない
相続分野の最大の特徴は、ユーザーの多くが「依頼を検討する前段階」で検索しているという点です。
相続が発生した直後の多くの人は、
- 何が問題なのか分からない
- 自分に責任があるのか分からない
- 誰に相談すべきか分からない
という、不安と混乱の中にいます。
そのため、検索されるキーワードは、
- 相続放棄をした者の責任は?
- 凍結した口座から相続預金を引き出せるのか
- 遺言書を全員に見せる必要があるのか
- 遺言執行者がいない遺言書は無効なのか
- 配偶者居住権を登記しないとどうなるのか
といった、極めて具体的だが、直接受任には結びつかない疑問です。
「高報酬・高受任率」優先のコンテンツが抱える構造的問題
事務所都合が前面に出やすい
高報酬案件を優先すると、どうしても
- 相続登記 司法書士
- 相続放棄 依頼 費用
- 相続手続き まとめて依頼
といった、営業色の強いキーワードに集中します。
結果として、
- どの事務所も似た説明
- 料金表中心の構成
- CTA(問い合わせ誘導)過多
になり、ユーザーにとっては「違いが分からないページ」になります。
被リンクが発生しない
被リンクが自然に集まるコンテンツには共通点があります。
- 中立的である
- 特定の事務所への誘導が露骨でない
- 「困ったときに引用しやすい」
高報酬案件を狙ったコンテンツは、
- 営業目的が明確
- 判断を促す余地が少ない
- 他サイトがリンクする理由がない
ため、被リンクを獲得できません。
Googleが重視するE-E-A-Tが蓄積されない
相続分野は、Googleにおいて
**YMYL(人生・財産に大きな影響を与える分野)**に該当します。
そのためGoogleは、
- 例外的なケースへの言及
- トラブルになりやすい論点
- グレーゾーンの丁寧な説明
といった、「専門家としての思考の深さ」を強く評価します。
高報酬案件を優先すると、
- 説明が無難になる
- 難しい論点を避ける
- 画一的な解説に留まる
結果として、専門性の積み上げが起こらないサイトになってしまいます。
実際に評価されているのは「直接受任につながらないコンテンツ」
実務上、被リンクを獲得し、検索評価が高い相続コンテンツの多くは、
- 今すぐ依頼しなくても読める
- 判断材料を冷静に整理している
- 「知らないと損をする」論点を扱っている
という特徴を持っています。
これらのコンテンツは、
- Q&Aサイト
- 解説記事
- SNS投稿
- 他士業のブログ
から引用されやすく、結果としてドメイン全体の評価を底上げします。
「最初の流入ページ」と「問い合わせページ」は別でよい
相続分野では、次のような流れが自然に起こります。
- 直接受任に結びつかない疑問記事で初回流入
- 「この事務所は信頼できそうだ」と認識
- 数週間〜数か月後、別の相続問題で再訪
- その時に初めて問い合わせに至る
重要なのは、
- 最初から受任を狙わないこと
- 売り込まない姿勢で信頼を積み上げること
です。
本当に成果が出る相続コンテンツ戦略の順序
成果を出している事務所に共通する順序は、次の通りです。
- ユーザーの疑問を最優先にテーマ選定
- 「それを知りたかった」という論点を深掘り
- 直接的な営業表現を控える
- 内部リンクで業務ページに自然につなぐ
- 結果として高単価案件も集まる
これは、
利益を追わないからこそ、結果的に利益が最大化される
という構造です。
相続コンテンツで最も危険なのは「効率重視」
相続分野において、
- 高報酬案件を優先する
- 受任率だけでテーマを選ぶ
- コンテンツを営業資料と捉える
という考え方は、短期的には合理的に見えても、長期的にはユーザーにもGoogleにも評価されません。
評価されているのは、「今すぐ金にならないが、今すぐ困っている人を助けるコンテンツ」です。
相続という分野の本質を理解した上で、ユーザー本位のコンテンツを積み重ねることが、結果的に最も安定した受任につながります。

過去にインターネット受注で100%稼動する縫製工場を経営しており、平成17年度に経済産業省「IT経営百選」で優秀賞を受賞、翌18年には、最優秀賞を受賞するまでになりましたが、その後縫製工場の経営を止め、飲食店のインターネット担当として勤務いたしました。平成28年11月より独立してSEO対策とWEBコンサルタントとして多くのサイトの検索流入やコンバージョンの改善実績があります。









ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません